道路植栽による交通騒音の低減方策



6.事後騒音調査の実施と結果



 事後調査は、事前と同じ要領で昼夜実施した。
 事前が1月、事後が7月と季節変動での誤差はやむをえないにしても、曜日と天気は合わせて実施した。
 結果は表−4のとおりで、昼夜間とも2dB程度低減出来たと推測される。
 実験結果が2dB/m以下だったので、ヘデラの巻き上げ効果も高かったと考えられる。

7.費用対効果の推計



 騒音を1dB低減するための費用を表−5のように試算した。既設の施設等を有効に使うと植栽により、安価に対処することも可能と考えられる。

 

 8.おわりに

 初めて騒音調査を実際に体験したが、車交通騒音に集中出来ないむずかしさを痛感した。それは、大工さんのハンマー音、犬の鳴き声、小鳥のさえずり、セミなど虫の音等が混入すると、多くのデーターを収集しても、排除する結果となったことである。

 また、植栽の実施にあたっては、傾斜地で水位が下がり易いことと、本年4月〜5月の降水量が少なかったこともあり、サザンカの生育が悪く一部立ち枯れも生じた。これは騒音の低減効果に影響を与えることになるので、維持管理面での課題を残した。

 都市空間の緑化は美しさ、やすらぎ、潤い、落ちつきなど人間の心理面に影響する様々な効果をもたらすのは明らかである。今回の研究では、2dB程度の低減が確認できたが、植栽で車を隠すことにより、静けさのイメージが向上する心理的な効果も得られたものと確信している。

 今後、植栽の計画については、この研究を生かし、環境に配慮した街づくりに貢献したい。

 

 

※ 協 力

  • 長崎県衛生公害研究所

  • (社)長崎県公園緑地協会

※ 参考文献

  • 道路の樹木   (社)道路緑化保全協会 編集

  • 道路交通騒音の予測モデル  日本音響学会誌55巻4号(1999)

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