公共施設の維持管理
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新たな維持管理の取り組み
 

維持管理計画の策定 

 時間とともに老朽化していく社会資本の機能を損なうことなく莫大な費用をかけずに維持するためには、これまで以上に効率的かつ効果的な維持管理を行っていく必要があります。
 これまでの維持管理は、「傷んでから直すまたは作り替える」いわゆる対症療法的な方策を取ってきていました。しかし、この方法では、施設の機能が損なわれてからの対応ですので、直している間の代替機能の確保や新たに施設を作るのに多くの費用がかかってしまいます。そこで、これまでの対症療法から「傷む前に直して、できる限り長期間使う」予防保全的な方策を取ることとしました。
 そこで、長崎県では、橋やトンネル、ダムといった施設ごとに点検の方法や施設に合った維持管理の方法などをまとめる「維持管理計画」の策定に取り組んでいます。
 また、維持管理計画の策定にあわせて効率的かつ効果的な予算配分や県内の施設の状況を分りやすく把握するため、施設の状況を一元的に管理する維持管理システムの導入も進めています。
 施設ごとの維持管理計画と維持管理システムに基づくより効率的・効果的な維持管理を行い、施設の延命化、ライフサイクルコストの低減、更新を含む費用の低減・平準化を行います。


なぜ予防保全なのか?

 予防保全の考え方を身近な例で考えてみましょう。
 私たちは、日常生活の中で体を健康に保つため、いろいろな取り組みをしていると思います。風邪の予防のために家に帰ったら、手洗い・うがいをしたり、ウォーキングなどの運動を生活に取り入れることで体力の維持やダイエットに励んだりします。こういった取り組みがまさしく予防保全と言えます。また、ひとたび風邪をひいても早めに病院に行ったり、薬を飲んだりすることで、症状が軽いうちに治そうとします。たかが風邪と思って何も対処しないでいると、最悪の場合肺炎になって入院や時には命にかかわることにもなりかねません。重大な事態になる前に対応することもまた予防保全と言えます。
 私たちの体と同じように社会資本にも重大な事態になる前に手当てをして、長く使っていくことが大切です。


取り組みの効果


 従来の対症療法的な維持管理から予防保全型の維持管理に切り替えた場合の効果を港の構造物(鋼構造物)で見てみることにしましょう。従来の「傷んだら直すまたは作り替える」方法だと、県内にある港の機能を維持するためには、50年間で600億円ものお金がかかります。ところが、予防保全型の維持管理に切り替えると、50年間の投資額は120億円まで縮減されます。
 このように予防保全型の維持管理には、予算の低減・平準化の効果が見込まれます。
従来型の維持管理手法による投資イメージ
予防保全的な維持管理手法による今後50年の投資シミュレーション
下矢印: 予防保全的な維持管理・予算の平準化及び最小化