道路植栽による交通騒音の低減方策


長崎土木事務所 都市計画課 園田 一郎

 
1.はじめに

 本研究は、車交通騒音に対する1本の苦情電話から始まった。
 場所は都市計画道路・出島町西山町線に面する長崎市西山3丁目。街路整備が完了して10年が経過してもなお苦情が来る。その原因としては、交通量の増加もさることながら多階層のマンション建設に伴い、騒音が反響するなど居住環境の変化も考えられる。
 そこで、沿線住民の生活環境を守るため、騒音レベルの低減を図る方法を検討し、実施したので、その結果を報告する。


2.事前騒音調査
写真−1

2.1 現地踏査

 対象の道路は、写真−1に示すとおり全幅22mの4車線道路であり、西山川の左岸側に擁壁を立ち上げて築造されている。

 騒音に関する苦情は、この川の右岸地区から多く出ている。

 県道が7%と急勾配であり、登坂時のエンジンパワー上昇に伴う排気音及びタイヤと路面の接触音が顕著であった。

 このため、現地で騒音レベルを観測することとし、その区間270mを調査対象と決定した。次に調査地点の選定だが、

  1. 近接空間(環境基準に示された幹線交通を担う道路に近接する空間道路端より20m以内)
  2. 対象外の定常騒音(建設現場のハンマー音、犬猫の鳴き声、小鳥のさえずり等)
  3. 遮へい物の有無、などを考慮し3地点(近接1地点)

を選定し、それぞれA点(道路端より12m)、B点(同59m)、C点(同102m)とした。

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