ペットトイレのすすめ

 

3.ペットトイレ

3.2.ペットトイレ事情


 近年、社会は複雑化の一途をたどっており、少子高齢化や核家族化はますます進展してきている。そうした中で、「老後のパートナー」としてや「家族の一員」としてペットを飼う人は先進国の間で増加してきている。


 ペットが増えるということは当然それと比例してペットが出す排泄物も増加するということであり、大都市では現在、犬等のフン公害に非常に頭を悩ませている。
フン公害に対処する最も容易な方法はペットを公園等の都市施設からシャットアウトすることであり、これが最も効果的な方法でもある。


 しかし、現在では多くの家庭がペットを家族同様に扱っており、「ペット同伴で行けるところにしか行かない」という人たちも徐々に増加してきている。


 また、ペットをシャットアウトすると、盲導犬を必要とする視覚障害者はどうなるであろうか。盲導犬は一般のペットとは異なり、電車・バス等の交通機関や宿泊施設、飲食店などの利用も認められているが、こうした特定の犬だけを入れるようにするという考え方は自分だけが特別扱いされているという心理的なバリアを与えるわけでバリアフリーの観点からも改善していかなければならない問題である。
以上が今回ペットトイレを設置するに至った背景であり、吉田氏に指摘を受けたのもまさにこの点であった。


 吉田氏がペットトイレの必要性を感じ始めたのは、氏が公園来訪時に、芝生だと思って座った場所に犬の糞が落ちており、氏がそれをふんだことに始まる。一般の人ならば、犬の糞が落ちていればそこを避けるであろうが、視覚障害者にはそれができないのである。また、他の人が糞を踏んだときに吉田氏の犬のものではないのだろうかと疑われたこともあるとのことであった。そもそも、盲導犬は非常に訓練されており、勝手に糞をするということは決して無いのだが、目が見えないというだけで疑われたのである。

 こうした誤解を招くことなく、ペットを飼育している人はもちろんのこと、盲導犬を必要とする視覚障害者がバリアを感じることなく盲導犬と共に公園を利用できるようにするには公園内にペットトイレを設置することが必要であり、以下の助言を吉田氏から受けた。

 

(吉田氏の助言 〜ペットトイレ指針〜)

@ ペットトイレスペースは、植栽も無いフラットな空間が良い。

A 周りの景観が見渡せるような、低木によるマバラな植栽が良い。
  (犬は警戒心が強いため、周りが見えないと落ち着かない。)

B 路面は土かセレクトが良い。(砂は、汚物に付着して困る。)

C 現地に標識と、公園内に案内板で表示する。

D 位置は、駐車場より遠くないところが良い。

E 広さは、飼い主がロープを持って中央にいるとき、
  犬が周りを回れる位が最低は必要。

F 敷地の高さは、駐車場、園路等より段差は無い方が良い。
  周りの芝より低くても可。

G 位置は身障者用駐車場があれば、その隣接部が良い。


 上記を満たすペットトイレは海外では徐々に整備されてきているが、残念ながら日本国内ではほとんど整備されてはおらず、吉田氏の助言と海外の事例を参考にしながらペットトイレの計画を立てることにした。

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