コスト縮減対策:

新たな行動計画の策定について.
公共工事コスト縮減対策については、平成9年11月に策定された「公共工事コスト縮減対策長崎県行動計画」に基づき、平成9年度から11年度までの3年間、各部局と一致協力して施策を推進し、一定の成果を得ることができました。
しかしながら、依然として、厳しい財政事情の下で引き続き社会資本整備を着実に進めていくことが要請されています。又、これまで実施してきたコスト縮減施策の定着を図ることや新たなコスト縮減施策を進めていくことが重要な課題となっています。
よって、これまでの取り組みにおける課題を踏まえ、「公共工事コスト縮減対策長崎県新行動計画」を策定しました。
1.新行動計画の主なポイント

  新しい行動計画は、「より良くより安く」社会資本を整備する ため、旧行動計画のフォローアップにおいて継続が必要とされた 施策、公共工事の計画から施工に至る各分野を対象に網羅的に総 点検を行い取り組むべき策を盛り込みました。

また、これまで進めてきた直接的な工事コストの低減に加え、 ライフサイクルコストの低減などの観点でも取り組み、総合的な コスト縮減を目指します。

2.新行動計画の目標期間

平成12年度から平成20年度末としています。

3.新行動計画のフォローアップ
新行動計画の実施状況については、具体的施策の着実な推進を 図る観点から、適切にフォローアップをし、その結果を公表しま す。

又、そのフォローアップの結果を踏まえ、3年ごとに新行動計 画の見直しを行います。

 
 
第1 基本的考え方
1.政府行動指針・建設省行動計画と長崎県行動計画の位置づけ
「公共工事コスト縮減対策長崎県新行動計画」(以下「長崎県行動計画」という。)は、政府の「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」(以下「行動指針」という。)、建設省の「公共工事コスト縮減に関する新行動計画」(以下「行動計画」という。)を踏まえ、長崎県が策定したものである。
なお、長崎県行動計画は、行動指針・行動計画の内容を包含し、本県の実状等を勘案する形で作成している。

2.これまでの取り組み

社会資本は、安全で豊かな国民生活の実現や活力ある経済発展に不可欠な基盤であり、今後ともその整備を計画的かつ着実に進めていくことが必要である。社会資本の整備に当たっては、社会経済情勢の動向や県民のニーズを的確に把握し、事業評価などによりその必要性や妥当性を明確にした上で、重点化を図りつつ実施することが重要である。また、そのためのシステムの整備・充実が図られているところである。
社会資本を整備する手段としての公共工事は、「より良いものをより安く」提供する、という観点から実施することが求められている。このため、「厳しい財政事情の下、限られた財源を有効に活用し、効率的な公共事業の執行を通じて、社会資本整備を着実に進め、本格的な高齢化社会到来に備えるには、早急に有効な諸施策を実施し、公共工事コストの一層の縮減を推進する必要がある」との認識の下、政府においては、平成9年4月に「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」(以下「旧指針」という。))を策定した。各省庁においても、旧指針を踏まえ、「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」(以下「旧計画」という。)を策定し、施策を推進してきたところである。
また、公共工事コスト縮減対策の実効性を確かなものにするためには、各地方自治体についても、国と協調し、積極的に取り組む必要があることから、本県においても、国の旧指針・旧計画との整合を図り、「公共工事コスト縮減対策長崎県行動計画」(平成9年11月)を策定し、公共工事コストの一層の縮減を推進してきたところである。
平成9年度から11年度の3年間の取り組みについては、各部との連携や各地方機関におけるコスト縮減の意識の高揚により、平成12年4月に行ったコスト縮減のフォローアップの結果、本県が実施する直接的施策については約6%となっており、旧長崎県行動計画において掲げられていた直接的施策の数値目標を達成したところである。

3.長崎県行動計画の考え方

このような現状を踏まえ、現下の状況を鑑みるに、これまでの公共工事コスト縮減施策により一定の成果が得られたものの、依然として厳しい財政事情の下で引き続き社会資本整備を着実に進めていくことが要請されていること、また、これまで実施してきたコスト縮減施策の定着を図ることや新たなコスト縮減施策を進めていくことが重要な課題となっている。
国においては、工事コストの低減だけでなく、工事の時間的コストの低減、工事における品質の向上によるライフサイクルコストの低減等についても取り組むべき重要な課題とし、これらも含めた総合的な公共工事のコスト縮減に取り組むこととして、平成12年度以降の行動指針・行動計画を策定した。
本県でも、国における行動指針・行動計画の策定を踏まえ、新たな長崎県行動計画を策定することとした。
なお、長崎県行動計画の目標期間は、国の行動指針・行動計画と同じく、平成12年度から平成20年度末とする。

4.長崎県行動計画の対象

長崎県行動計画は、基本的には、工事に関するコスト縮減を対象としており、用地取得に係るコストは対象としていないが、用地取得についても今後とも適切かつ計画的に推進していくこととする。

5.市町村への協力要請等

公共工事のコスト縮減を図り、本県の社会資本整備を効率的に推進するには、市町村の積極的取り組みが不可欠と考えられる。このため、本県は、各部とも連携し、市町村に対し、長崎県行動計画を参考に積極的に施策に取り組むよう要請する。
また、市町村における公共工事コスト縮減を推進するため、市町村との情報交換を継続するとともに、市町村に対する必要な支援を行うこととする。

6.フォローアップ

行動計画の実施状況については、具体的施策の着実な推進を図る観点から、フォローアップを行うものとする。

第2 具体的措置
1.具体的施策の実施に当たっての基本的な視点
(1)総合的なコスト縮減の必要性

長崎県行動計画においては、工事コストの低減のほか、工事の時間的コストの低減、工事における品質の向上によるライフサイクルコストの低減、工事における社会的コストの低減及び工事の効率性向上による長期的コストの低減を基本的な視点として、公共工事に関する様々な要素について各種の施策を実施するものとし、これらの施策効果により公共工事に関する総合的なコスト縮減を目指す。

@工事コストの低減

平成9年度から11年度の3年間の取り組みと同様に工事の計画・設計等の見直し、工事発注の効率化、工事構成要素のコスト低減等の施策を講じることにより、工事コストの着実な低減を図る。

A工事の時間的コストの低減

事業箇所の集中化、新技術を活用した工事期間の短縮等により、工事の時間的コストの低減を図る。

Bライフサイクルコストの低減(施設の品質の向上)

施設の長寿命化、省資源・省エネルギー化や環境調和型への転換を進めるなど、施設の品質の向上を図ることにより、ライフサイクルを通じてのコスト低減や環境に関するコスト低減を図る。

C工事における社会的コストの低減

工事における建設副産物対策の推進や環境改善策による環境負荷の低減、工事に伴う交通渋滞緩和、工事における事故の減少等を通じて社会的なコストの低減を図る。

D工事の効率性向上による長期的コストの低減

工事に関する規制改革、工事情報の電子化の推進や新技術の採用の促進等により、工事の効率性を高めるとともに、建設業の生産性向上を促し、長期的なコストの低減を図る。

2.具体的施策の実施に当たっての留意点
(1)機能・品質の確保

公共工事の価格低減を目指すことが、社会資本が本来備えるべき機能・品質を損うこととなるのでは、行動計画の趣旨に反することとなる。
公共工事のコスト縮減については、社会資本が本来備えるべき供用性、利便性、公平性、安全性、耐久性、環境保全、省資源、美観、文化性等の所要の基本機能・品質を満足させた上で、総合的なコスト縮減を目指すものである。

(2)不当なしわ寄せの防止

具体的な施策によるコスト縮減の裏付けなしに工事価格のみを下げることによって、下請け企業、資機材供給者、労働者等一部の関係者が、不当なしわ寄せを被るような状態を生起させてはならない。
本行動計画の基本的な考え方は、諸施策を総合的かつ持続的に実施し、公共工事をとりまく諸環境を改善し、低いコストで、適正な機能・品質を持つ目的物を建設できる環境作りを行うことにある。

(3)不正行為の防止

公共工事の実施に当たっては、入札談合等の不正行為を防止し、公正な競争を確保する

ことが不可欠である。

入札談合等の行為は、独占禁止法や刑法に抵触するのみならず、談合により企業間の競

争が阻害されることから、入札談合等の不正行為は、排除されるべきものである。
3.具体的施策

長崎県行動計画においては、以下の5分野について26項目212具体策の施策を、各部とも連携しつつ、平成20年度末までに実施する。これらの施策には、旧計画のフォローアップにおいて継続が必要とされた個々の施策を盛り込むとともに、公共工事コスト縮減の基本的な考え方を踏まえて計画から施工に至る各分野を対象に網羅的に総点検を行い、具体的に取り組むべきこととされた施策も盛り込んでいる。
なお、長崎県行動計画策定後も、社会経済情勢の変動に的確に対処しつつ引き続き新たにコスト縮減に資する事項の調査等を進め、必要に応じて実施すべき施策として位置付けていくものとする。
また、コスト縮減効果については、原則として従来からの手法により計測するものとするが、これによることが適当でない施策については、当該施策の特性に応じ、できるだけわかりやすい指標により計測するよう努める。

(1)工事コストの低減

平成9年度から11年度までの3年間の取り組みと同様に、工事の計画・設計等の見直し、工事発注の効率化、工事構成要素のコスト低減、工事実施段階での合理化、規制改革等のための具体的施策を継続・充実して実施することにより、工事コストを低減する。
これらの施策の実施によるコスト低減効果については、工事費に対する縮減率で表すことにし、縮減率は、施策適用前後の比較設計による縮減額の積み上げや建設物価の実質変動率により算定する。

1)工事の計画・設計等の見直し
a.計画手法の見直し(施策番号@)

工事の実施に当たって、必要以上に華美や過大なものとなっていないか、適切なサービス水準かなどの観点で検討し、必要な施策を講じる。

(施策事例)

・周辺の他事業と連携した工事の実施

(具体事例)

○類似他事業を公共下水道へ積極的に接続し、処理場建設のコスト縮減を図る。また、近接する市町村間で計画・調整を行い複数市町村で処理場を共有する。

b.技術基準等の見直し(施策番号A)

技術基準等が急速な科学技術の進歩に対応できているか、基準類の運用が画一的なために不経済な設計となっていないか等の観点に立って、技術基準等を、継続的に点検し、必要に応じてその見直しを行う。

(施策事例)

・橋梁の径間長に関する規定の見直し
・仮締切高の見直し

(具体事例)

○現行の「河川管理施設構造令」制定後の新たな知見に基づき、径間長に関する規定を見直し、より経済的な径間長を選定可能とする。
○低水護岸の施工における仮締切工について、背後地の重要性を充分に勘案した上、護岸の構造と施工性・河積阻害率等から判断した最適な締切高に押さえる検討をする。

c.設計方法の見直し(施策番号B)

コスト縮減の観点から当該工事現場に最適の設計とするため、設計VEの実施や設計段階におけるコスト縮減提案書の作成など、設計の初期段階において構造形式や施工方法等を組織全体で多角的に検討する体制の定着を図る。
また、施工手間を含め総合価格で最小となる設計思想への転換(材料ミニマムから労働量ミニマムへ)の推進と、これを目的に作成した設計マニュアルの普及を図る。
さらに、性能規定の考え方に基づく新しい設計の採用やプレキャスト製品の標準化を進める。

(施策事例)

・現場に最適な設計とするための設計VE等の推進

(具体事例)

○設計VEを導入し、平面計画、材料、構造計画・設計、施工法等について、現場に最適な方法を採用

d.技術開発の推進(施策番号C)

長期的にコスト縮減につながる技術の開発と、その現場における積極的な採用と評価が一層重要になっている。このため、官民の連携の下、こうした技術の研究開発を進めるほか、民間において開発された新技術について、パイロット工事の実施、情報の提供や情報交換体制の整備など、新技術を活用し、普及させるための制度を充実し、民間の開発技術の活用・普及を促進する。

(施策事例)

・新技術情報提供システムによる民間技術の活用

(具体事例)

○全工事を対象に使用材料、施工方法について、総合的なコスト縮減に資する新技術を活用

e.積算の合理化(施策番号D)

積算基準等の統一、明確化、公開、機動性の向上をさらに図る。また、建設CALS/EC等の推進に併せて積算に必要な数量データや図面の電子化の拡大を進めるほか、共通仕様書等の電子化と公開により、より多くの関係者の提案を得てこれらを迅速かつ的確に改正できる体制を築く。

(施策事例)

・積算に使用する数量データや図面等の電子化の推進

2)工事発注の効率化等
a.公共工事の平準化(施策番号E)

工事の計画的かつ迅速な発注、適切な工期の設定、債務負担行為の活用等により、公共工事の平準化を引き続き積極的に推進する。

(施策事例)

・工事の計画的な発注、適切な工期の設定、債務負担行為の活用等による円滑な工事の実施

(具体事例)

○各部局において、公共工事の平準化を念頭に置いた計画的かつ迅速的な発注

b.適切な発注ロットの設定(施策番号F)

中小企業の発注機会の確保に配慮しつつ適切に発注ロットを設定する。また、事業箇所の重点化等により投資の重点化を図る。

(施策事例)

・中小企業の受注機会の確保に配慮しつつ、適切な発注ロットの設定を推進

(具体事例)

○事業箇所の重点化等により、投資の重点化を推進

c.入札・契約制度の検討(施策番号G)

技術による競争を促し、民間の技術力を活用するため、技術提案を受け付ける入札・契約方式(VE方式、総合評価方式等)など新しい方式を適用する工事の拡大を図るとともに、さらに提案を出しやすい仕組みへの改善などを進める。また、設計面ではプロポーザル方式の導入を図る。

(施策事例)

・技術提案を受け付ける入札・契約方式(VE方式、総合評価方式、性能発注方式等)を採用した対象工事の範囲の拡大等と制度内容の改善
・コンサルタント業務のプロポーザル方式の導入

d.諸手続の電子化等(施策番号H)

調査・計画・設計・積算・施工・管理に関する工事関係文書等の標準化・電子化、電子調達システムの導入により、公共工事におけるCALS/EC化を進める。

(施策事例)

・調査・計画・設計・積算・施工・管理に関する工事関係文書等の標準化・電子化
・電子調達システムの導入

(具体事例)

○建設CALS/ECの導入
○建設ICカードの活用による現場事務の合理化

3)工事構成要素のコスト低減
a.資材調達の諸環境の整備(施策番号I)

品質を確保しつつ、多様な資材調達環境を引き続き整備するため、海外資材の活用促進、規格・仕様の標準化、統一化や性能規定化、品質検査等の見直し等を進める。

(施策事例)

・海外資材活用モデル工事の実施など海外資材活用策の推進
・資材の規格・仕様等の標準化、統一化、性能規定化
・品質検査等の簡素化

(具体事例)

○海外建設資材品質審査証明事業等の活用による手続の簡素化、迅速化

b.優良な労働力の確保(施策番号J)

生産技術の進歩、機械化の進展に対応し、「基幹技能者」や「多能工」の育成を継続して行う。また、工事の平準化、高齢化対策、若年労働者確保対策、労働環境の改善等を通じ、優れた建設技能者の安定的確保を図る。

(施策事例)

・労働環境改善の支援

4)工事実施段階での合理化・規制改革等
a.交通安全対策(施策番号K)

路上工事や海上工事について、各種の許可申請手続の合理化を推進するほか、集中工事の実施の促進等により、路上工事の効率的実施と渋滞時間の低減を図る。

(施策事例)

・許可申請手続の合理化
・集中工事の実施や混雑時間帯を避けた工事の実施の促進

b.労働安全対策(施策番号L)

労働者の安全確保を図るとともに労働安全対策の効率化を継続的に進めることが必要であり、事業者に効率的な安全管理の普及を図るとともに、情報提供や安全教育等に対する支援を行う。

(施策事例)

・労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進

(具体事例)

○建設業団体の有するマニュアルについて再点検、安全チェックリストの作成・指導
○労働者及び第三者の安全確保のための現場における安全対策活動の実施及び支援の充実

c.建設副産物対策(施策番号M)

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律を中心とした新たな制度の適正な運用、建設副産物の発生抑制技術や再生利用技術の開発等により、引き続きリサイクル率を向上しながらコストの低減を図る。

(施策事例)

・建設副産物の発生抑制の推進(建築物、工作物の長寿命化等の技術開発等)
・再生資源の利用促進及びリサイクル技術の開発の推進

(具体事例)

○再生砕石、再生アスファルト合材の利用促進

d.埋蔵文化財調査(施策番号N)

公共工事の実施に伴う埋蔵文化財調査を円滑に実施するため、公共工事部局と文化財保護部局との連絡調整体制を継続するほか、調査・測量技術の向上を図る。

(施策事例)

・公共工事部局と文化財保護部局との連絡調整体制の継続

(具体事例)

○効率的な発掘調査推進や遺跡不時発見を少なくするため、測量技術、探査技術等の開発を文化庁とともに推進

(2)工事の時間的コストの低減

個々の工事の効率的な実施は、早期の便益発現や事業資金の金利負担の低減などの時間的コスト低減の効果をもたらす。このため、工事においても、事業箇所の集中化、新技術の活用による工事期間短縮などにより時間的効率性の向上を図る。
これらの施策の実施によるコスト縮減効果については、事業箇所数や短縮時間、短縮による便益など施策の特性に応じた指標で計測する。

(施策事例)

・工事箇所の集中化、他事業との連携による機能の早期発現
・新技術の活用による工事期間の短縮

(具体事例)

○文化財調査における公共工事部局と文化財保護部局との連絡調整の緊密化を通じた工
事着手の早期化

(3)ライフサイクルコストの低減(施設の品質の向上)

公共工事によって整備される各種の施設については、「より良いものをより安く」という観点から整備していく必要があることはいうまでもないが、それだけではなく、より耐用年数の長い施設、省資源・省エネルギー化に資する施設、環境と調和する施設等の整備を推進するなど、施設の品質の向上を図ることにより、ライフサイクルを通じてのコストの低減や環境に対する負荷の低減を図る。
これらの施策の実施によるコスト縮減効果については、転換率など施策の特性に応じた指標で計測する。

a.施設の耐久性の向上(長寿命化)(施策番号@)

ライフサイクルを通じてのコスト低減の観点から、施設の長寿命化を図る。

(施策事例)

・耐久性を向上(長寿命化)した構造物への転換
・公共施設の施設毎の適切な耐久年数の設定

(具体事例)

○長寿命化コンクリート構造物への転換
○ライフサイクルコスト低減技術を導入した橋梁を採用
○官庁施設の施設毎の耐久年数の設定及びライフサイクルコスト低減技術の採用
○下水道における腐食対策技術の採用による構造物の耐久性の向上

b.施設の省資源・省エネルギ化(運用、維持管理費の低減)(施策番号A)

ライフサイクルを通じてのコスト低減の観点から、施策の省資源・省エネルギー化を図る。

(施策事例)

・庁舎等における照明、熱交換施設等の省エネルギー化
・太陽光等のクリーンエネルギーを活用した施設の整備

(具体事例)

○新営庁舎において、エネルギー効率の向上や資源の再利用に資する照明制御、太陽光熱電、蓄熱式空調、雨水利用等の設備を導入
○道路照明において、省エネルギー型の照明ランプを採用
○光ファイバー網整備による維持管理の効率化・合理化

c.環境と調和した施設への転換(施策番号B)

環境に係るコスト等への低減の観点から、環境と調和した施設、バリアフリー化した施設に転換する。

(施設事例)

・環境調和型に転換した施設の整備
・バリアフリー化した施設の整備

(具体事例)

○多自然型川づくりを推進し、植生、緑化可能な護岸を整備
○低騒音舗装の実施
○沿岸漁業整備開発事業と海岸事業の連携により、効果的・効率的な事業(魚を育む海 岸づくり)を実施
○既存公営住宅のストックの高齢者向けの改善に際し、既存の段階型中層協同住宅について低コストでコンパクトなエレベーターの設置を推進

(4)工事における社会的コストの低減

公共工事においては、先導的に建設副産物対策や環境対策、安全対策を実施していくことが求められている。これらの施策の中には、直接的な工事コスト低減にはつながらないものもあるが、社会的なコスト低減の観点で重要な施策であり、今後とも引き続き積極的に対応していくことが必要である。このような観点に立って、建設副産物対策の推進や環境対策による環境負荷の低減、工事中の交通渋滞緩和、工事中の事故の減少などを通して社会的なコストの低減を図る。
これらの施策の実施によるコスト縮減効果については、リサイクル率等施策の特性に応じた指標で計測する。

a.工事におけるリサイクルの推進(施策番号@)

建設副産物等のリサイクル等の進めることにより、資源の有効利用や環境負荷量の低減を図り、社会的コストを低減する。

(施策事例)

・建設副産物対策の推進
・再生資源や資源循環に資する資材等の公共工事での活用

(具体事例)

○建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の適切な運用等、各種施策を推進する ことにより、建設副産物のリサイクルを推進
○下水道汚泥の資源化を推進するとともに、工事等において再生資源を積極的に活用

b.工事における環境改善(施策番号A)

工事における環境改善策により環境負荷の低減を図り、社会的コストを低減する。

(施策事例)

・環境負荷の低減に資する建設機械の採用

(具体事例)

○排出ガス、騒音等の環境負荷の低減に資する建設機械の採用

c.工事中の交通渋滞緩和対策(施策番号B)

現道上での交通渋滞を緩和するよう工事を工夫し、社会的コストを低減する。

(施策事例)

・路上工事における集中工事等の実施

(具体事例)

○路上工事ににおける集中工事等の活用について検討会を設置し、モデル工事を実施

d.工事中の安全対策(施策番号C)

工事において、安全性の水準を改善することにより、人的な損失を低減する。

(施策事例)

・事業者に対する安全管理についての助言、情報提供、安全教育等についての支援

(具体事例)

○建設業団体の有するマニュアルについて再点検、安全チェックリストの作成・指導
○現場における安全対策活動の実施及び支援の充実

(5)工事の効率性向上による長期的コストの低減

民間企業の有する技術力を公共工事において積極的に活用することにより、工事の効率性が高められるとともに、建設業の生産性向上を促し、長期的なコスト低減が期待できる。

具体的には、各種の規制改革等を通じた効率性の向上、個々の工事に置ける新技術の活用、工事情報の電子化や電子交換等の実施、建設業における情報通信事業(IT)の利用拡大、
入札・契約制度の的確な運用等を通じた不良・不適格業者の排除等を通じて、長期的なコスト縮減を図る。

これらの施策の実施によるコスト縮減効果については、規制改革の実施状況、工事情報の電子化を実施した工事件数など施策の特性に応じた指標を計測する。

a.工事における規制改革(施策番号@)

工事に関する各種の規制改革の実施を通じて、長期的にコスト低減を図る。

(施策事例)

・工事のおける規制改革
・公共工事におけるIS09000Sの導入

(具体事例)

○技術基準類の性能規制化により、設計・施工の自由度の拡大
○資材の調達・流通に関する規制改革
○海外建設資材品質審査証明事業等の活用による手続の簡素化、迅速化

b.工事情報の電子化(施策番号A)

工事情報や手続の電子化等による工事の効率化を図るとともに、建設業における情報通信技術(IT)の利用を拡大し、長期的にコスト低減を図る。

(施策事例)

・工事情報の電子化や電子交換の実施
・工事の入札手続の電子化の実施

(具体事例)

○建設CALS/ECの導入
○建設ICカードの活用による現場事務の合理化
○工事へのプロジェクトマネジメント(PM)手法の適用

c.工事における新技術の活用(施策番号B)

工事における新技術の活用により、長期的にコスト低減を図る。

(施策事例)

・工事における新技術の採用
・技術提案を受け付ける入札・契約方式の採用

(具体事例)
○新技術情報提供システムによる民間技術の活用
4.公共工事コスト縮減の目標
(1) 考え方

長崎県行動計画においては、公共工事コスト縮減に関する具体的数値目標を設定する。
なお、長崎県行動計画に示された施策の内、その効果が得られるまでに時間を要する
ものが多く又、具体的に数値を把握することが困難な施策も含まれている。ここで示す
目標数値は、具体的施策が実施され十分な効果が得られた時点での数値目標である。
推計にあたっては施策毎に行動計画対象期間内での実施内容と効果を想定し可能な範
囲で積み上げを行う。

(2) 数値目標

長崎県行動計画に示した施策について、目標数値を以下のとおり定める。

コスト縮減の目標数値

施 策 名数 値 目 標
(1)工事コストの低減
1)工事の計画・設計等の見直し
2)工事発注の効率化等
3)工事構成要素のコスト縮減
4)工事実施段階での合理化
・規制緩和.
本県が実施する直接的施策(個別工事毎
に直接的に金額ベースで把握できるもので
一部間接的施策の海外資材活用、建設副産
物の利用を含む)について
平成12年度〜14年度 概ね6%
平成15年度〜17年度 概ね7%
平成18年度〜20年度 概ね8%
縮減することを目指す。
(2)時間的コストの低減
(3)ライフサイクルコストの低減
(4)社会的コストの低減
(5)長期的コストの低減
数値目標を設定しない。

平成20年度末までにすべての施策を完了し、この期間中に概ね縮減効果が得られるよう、最大限の努力をする。

5.フォローアップ

(1) 実施結果の状況を具体的施策毎に評価するため工事毎に別紙「実施結果調査票」を作成する。
(2) 行動計画の見直し。
長崎県行動計画策定後も、国の行動指針・行動計画の変更が予想されること、またフォローアップの結果も踏まえ、3年毎に長崎県行動計画の見直しを行うこととする。
  
.