(長崎県)鉄筋コンクリート造等擁壁の耐震設計基準

 

1.鉄筋コンクリート造等擁壁における耐震設計の区分

 

「宅地防災マニュアル」[.3.2.1鉄筋コンクリート造等擁壁の設計上の一般的留意事項において、当該設計にあたっては、設計条件を的確に設定した上で常時及び地震時における擁壁の必要性能(3照査のための検討事項)を満足するように検討しなければならないとされている。

              鉄筋コンクリート造等擁壁とは、鉄筋コンクリート造及び無筋コンクリート造の擁壁で、社団法人日本建築士会連合会発行の「構造図集 擁壁」に掲載されている標準構造図集によるものを除く。

 

         耐震設計区分の基本的考え方

「宅地防災マニュアル」の解説によれば、高さ2mを超える擁壁について、地震時の検討を行うことが一般的とされており、下記のとおり取扱うものとする。ただし、宅地に接しない擁壁で道路、公園等で公共管理者が管理する擁壁については、当該管理者の基準によるものとする。

 

1)       高さが1mを超え2m以下の擁壁については、常時における検討を行うこと。

2)       高さ2mを超える擁壁については、常時及び中地震時における検討を行うこと。

3)       高さ5mを超える擁壁については、常時及び中地震時に加えて大地震時における検討も行うこと。

              切土、盛土の区分に関係なく、地盤面からの高さにより判断する。

テキスト ボックス: 構造設計上の擁壁の高さ テキスト ボックス: 擁壁の高さH テキスト ボックス: 根入れ深さ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


条     件

耐震設計の区分

 

 

 

 

常時

中地震時

大地震時

 

 

 

 

1m<h≦2m

 

 

 

 

2m<h≦5m

 H

 

 

5m<h

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 H:構造上の擁壁の高さ

 

 

 

 h:擁壁の高さ

 

 

 

 

 d:根入深さ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.設計水平震度(地震時水平荷重)

 

次式によるものとする。なお、地震による鉛直荷重は考慮しないものとする。

 

Kh=Cz・k0   (式2.1)        ここに、Kh:設計水平震度

                              Cz:地域別補正係数

                              k0:標準設計水平震度

 

1)       標準設計水平震度(k0)は、中地震時で0.2、大地震時で0.25とする。

2)       地域別補正係数(Cz)は、建築基準法施行令第88条第1項に規定するZの数値(昭55建告1793)であり、長崎県の場合全域で0.8となる。

3.照査のための検討事項(安全率等)

 

常時、中地震及び大地震時において備えるべき性能の照査については、下記のとおりとする。

 

1)       常時における検討

@          擁壁全体の安定モーメントが転倒モーメントの1.5倍以上であること。

※参考基準:合力の作用位置が底版幅の中央1/3(ミドルサード)の範囲にあること。

A          擁壁底面における滑動抵抗力が滑動外力の1.5倍以上であること。

B          最大接地圧が、地盤の極限支持力の1/3以下であること。

C          擁壁躯体の各部に作用する応力度が、材料の長期許容応力度以内に収まっていること。

2)       中地震における検討

@          擁壁全体の安定モーメントが転倒モーメントの1.2倍以上であること。

※参考基準:合力の作用位置が底版幅の中央2/3の範囲内にあること。

A          擁壁底面における滑動抵抗力が滑動外力の1.2倍以上であること。

B          最大接地圧が、地盤の極限支持力の2/3以下であること。

C          擁壁躯体の各部に作用する応力度が、材料の短期許容応力度以内に収まっていること。

3)       大地震における検討

@          擁壁全体の安定モーメントが転倒モーメントの1.0倍以上であること。

※参考基準:合力の作用位置が底版幅の範囲内にあること。

A          擁壁底面における滑動抵抗力が滑動外力の1.0倍以上であること。

B          最大接地圧が、地盤の極限支持力以下であること。

C          擁壁躯体の各部に作用する応力が、終局耐力(材料の設計基準強度)以内に収まっていること。

     

※安全率(Fs)等のまとめ

 

常 時

中地震

大地震

転 倒

1.5(e≦B/6)

1.2(e≦B/3)

1.0(e≦B/2)

滑 動

1.5

1.2

1.0

支持力

1/3

2/3

部材応力

長期許容応力度

短期許容応力度

設計基準強度

      ( )内は参考基準

 

4.その他

 

@          土圧計算には、常時及び地震時において、5キロニュートン/u以上の上載荷重を見込むこと。

A          逆T及びL型擁壁の安定計算における土圧は、底版後端から引いた垂直面に作用するものとして算定すること。また、部材応力の計算における土圧は、たて壁の背面に作用するものとして算定すること。

B          逆L型擁壁のつま先版上部の土砂は擁壁の自重として算定すること。

C          常時の土圧はクーロンの土圧公式により、地震時の土圧は物部・岡部式により算定することを標準とするほか、試行クサビ法等従来より確立された算定方法によるものとする。

D          鉄筋及びコンクリートの材料強度および許容応力度は、建築基準法施行令に規定する数値によることとするが、擁壁が設置される場所の地形、地質、地下水位の状況等現地の施工条件を勘案し、前述による数値以内で適切に決定すること。

E          土の内部摩擦角や擁壁底版との摩擦係数については、背面土や支持地盤の地質及び土質調査の結果に基づき算定することとなるが、これによらない場合は、宅地造成等規制法施行令の別表第二及び第三の値を用いることができる。

 

宅地造成等規制法施行令別表第二

 

 

土質

単位体積重量(kn/m3

土圧係数

砂利又は砂

18

0.35

砂質土

17

0.4

シルト、粘土、又はそれらを多く含む土

16

0.5

 

■宅地造成等規制法施行令別表第三

 

 

基礎地盤の土質

摩擦係数

 

岩、岩屑、砂利、砂

0.5

 

砂質土

0.4

 

シルト、粘土、又はそれらを多く含む土

0.3

 

 

5.施行日

 

本基準は、平成21年 10月 1日より施行する。


6.改正

 

平成27年9月24日 中地震時における照査の基準のうち最大接地圧を極限支持力の2/3以上に改める。