5章 市街化調整区域に係る基準
 1節 立地基準

1.市街化調整区域に立地できる建築物等
① 市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域(法第7条第3項)」であることから、市街化調整区域内で立地が許容される建築物及び特定工作物(以下「建築物等」という。)は、法に限定列挙されている用途のものに限られる。
 本節では、市街化調整区域に立地できる建築物等についてその概要を記述しており、詳細についてはそれぞれの参照箇所欄等に示した部分を参照する。

 なお、本節で記述する立地基準(用途の基準)(34条)に加えて開発許可の場合は技術的基準(第3章)(33条)に、建築許可の場合には令第36条にも適合する必要がある。
図5-1 市街化調整区域に立地できる建築物等
市街化調整区域内における立地規制 立 地 可 許可不要  イ 適用除外の建築物等
           5-1-1を参照
ロ 許可不要で増築・建替・用途の変更ができる建築物等
           5-1-2を参照
許 可 要  ハ 法に限定列挙されている建築物等(法第34条第1号~13号)
            表5-2を参照
ニ 開発審査会の審議が必要な建築物等(法第34条14号)
      5-1-3(14)を参照
立地不可  上記イからニ以外の建築物等
② 特定工作物の取扱いについては、次のとおりである。
イ 周辺地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物として令第1条第1項に規定されるコンクリートプラント、クラッシャープラント等の第一種特定工作物(1-2-3を参照)は、建築物の場合に準じて一定の要件を満たす場合に限り市街化調整区域内において建設できる。なお、第一種特定工作物の附属建築物(管理棟等)は、第一種特定工作物の立地が許容される場合に限り、その利用のために必要最小限の規模のものが認められる。
ロ 大規模な工作物として令第1条第2項に規定されるゴルフコース、1ha以上の野球場・遊園地等の第二種特定工作物(1-2-3を参照)は、市街化調整区域の立地規制の対象外であり市街化調整区域に建設できる。なお、第二種特定工作物の用途に包含される附属建築物(例えば、ゴルフコースのクラブハウス、陸上競技場のスタンド等)は、必要最小限のものに限り第二種特定工作物の一部として建築が認められる。一方、例えば宿泊施設は第二種特定工作物に包含される建築物とはみなされないので、5-1-3(14)で許可が得られた場合に限り建築できる。

2.開発許可に係る用途の基準(法第34条)
 市街化調整区域内において行う開発行為は、法第33条の技術的基準に適合するとともに、本条各号で列挙されている用途のいずれかに該当することが必要である。ただし、法第29条第1項各号で許可不要とされているもの及び第二種特定工作物については、本条は適用されない。
 なお、許可を受けたものであっても、建築基準法の建築確認は別途必要である。
法第34条(開発許可の基準)

 前条の規定にかかわらず、市街化調整区域に係る開発行為(主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く。)については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続きが同条に定める要件に該当するほか、当該申請に係る開発行為が次の各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。
 主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物又はこれらの者の日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
 市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源その他の資源の有効な利用上必要な建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
 温度、湿度、空気等について特別の条件を必要とする政令で定める事業の用に供する建築物又は第一種特定工作物で、当該特別の条件を必要とするため市街化区域内において建築し、又は建設することが困難なものの建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
 農業、林業若しくは漁業の用に供する建築物で第二十九条第一項第二号の政令で定める建築物以外のものの建築又は市街化調整区域内において生産される農産物、林産物若しくは水産物の処理、貯蔵若しくは加工に必要な建築物若しくは第一種特定工作物の建築若しくは建設の用に供する目的で行う開発行為
 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律 (平成五年法律第七十二号)第九条第一項 の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて設定され、又は移転された同法第二条第三項第三号 の権利に係る土地において当該所有権移転等促進計画に定める利用目的(同項第二号 に規定する農林業等活性化基盤施設である建築物の建築の用に供するためのものに限る。)に従つて行う開発行為
 都道府県が国又は独立行政法人中小企業基盤整備機構と一体となつて助成する中小企業者の行う他の事業者との連携若しくは事業の共同化又は中小企業の集積の活性化に寄与する事業の用に供する建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
 市街化調整区域内において現に工業の用に供されている工場施設における事業と密接な関連を有する事業の用に供する建築物又は第一種特定工作物で、これらの事業活動の効率化を図るため市街化調整区域内において建築し、又は建設することが必要なものの建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
 政令で定める危険物の貯蔵又は処理に供する建築物又は第一種特定工作物で、市街化区域内において建築し、又は建設することが不適当なものとして政令で定めるものの建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
 前各号に規定する建築物又は第一種特定工作物のほか、市街化区域内において建築し、又は建設することが困難又は不適当なものとして政令で定める建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
 地区計画又は集落地区計画の区域(地区整備計画又は集落地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、当該地区計画又は集落地区計画に定められた内容に適合する建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
十一  市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの
十二  開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの
十三  区域区分に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更して市街化調整区域が拡張された際、自己の居住若しくは業務の用に供する建築物を建築し、又は自己の業務の用に供する第一種特定工作物を建設する目的で土地又は土地の利用に関する所有権以外の権利を有していた者で、当該都市計画の決定又は変更の日から起算して六月以内に国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届け出たものが、当該目的に従つて、当該土地に関する権利の行使として行う開発行為(政令で定める期間内に行うものに限る。)
十四  前各号に掲げるもののほか、都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為  

3.建築許可に係る制限の適用除外(法第43条第1項)
 法29条1項の開発許可は主として建築物の建築又は特定工作物の建設のように供する土地の区画形質の変更(開発行為)を規制することにより秩序ある市街化の形成を図ることを実現しようとするものであるが、規制の効果を完全にするためには、開発行為の規制だけでは不十分であるため、例えば、市街化調整区域に関する都市計画が決定される前までに造成された宅地に住宅がそのまま建築される場合のように、開発行為を伴ずに行われる建築行為等も規制の対象とすることが必要となる。そこで、市街化を抑制するという趣旨から特に徹底して規制を行うことが望ましい市街化調整区域においては、開発行為を伴わない、つまり、開発許可を要することなく行われる建築行為などを本条により規制している。ただし、法第29条第1項各号で開発許可不要とされているものに対応して、それらに関連する建築行為は許可不要とされている。(5-1-1を参照
 なお、許可不要であっても、建築基準法の建築確認は別途必要である。
法第43条(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)

何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第29条第1項第2号若しくは第3号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第2号若しくは第3号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。ただし、次に掲げる建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設については、この限りでない。

一 都市計画事業の施行として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
二 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
三 仮設建築物の新築
四 第29条第1項第9号に掲げる開発行為その他の令で定める開発行為が行われた土地の区域内において行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
五 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
令第34条

法第43条第1項第4号の令で定める開発行為は、次に掲げるものとする。

一 法第29条第1項第4号から第9号までに掲げる開発行為
二 旧住宅地造成事業に関する法律第4条の認可を受けた住宅地造成事業の施行として行う開発行為

令第35条

法第43条第1項第5号の令で定める行為は、次に掲げるものとする。

一 既存の建築物の敷地内において行う車庫、物置その他これらに類する附属建築物の建築
二 建築物の改築又は用途の変更で当該改築又は用途の変更に係る床面積の合計が10㎡以内であるもの
三 主として当該建築物の周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらの業務の用に供する建築物で、その延べ面積が50㎡以内のもの(これらの業務の用に供する部分の延べ面積が全体の延べ面積の50%以上のものに限る。)の新築で、当該市街化調整区域に居住している者が自ら当該業務を営むために行うもの
四 土木事業その他の事業に一時的に使用するための第一種特定工作物の新設 

4.建築許可に係る用途等の基準(法第43条第2項、令第36条)
 法第43条に基づき許可が必要とされているものに関して、その許可に係る技術的基準が令第36条第1項及び2項に定められている。
① 第1号及び同条第2項は、技術的基準である。内容は、開発許可に係る法第33条の技術的基準に準じたものである。
② 第2号は、地区計画区域内等の場合、その地区整備計画等に適合することを義務づけたものである。
③ 第3号は、市街化調整区域の開発許可に係る用途の基準である法第34条に対応するものとして、イで法第34条第1号から第10号、ロで法第34条第11号、ハで法第34条第12号、ニで法第34条第13号、ホで法第34条第14号に適合するものを建築許可できるとするものである。(5-1-3(1)から5-1-3(14)を参照
法第43条(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)

2 前項の規定による許可の基準は、第33条及び第34条に規定する開発許可の基準の例に準じて、政令で定める
令第36条(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の許可の基準)

都道府県知事は、次の各号に該当すると認めるときでなければ、法第43条第1項の許可をしてはならない。
一 当該許可の申請に係る建築物又は第一種特定工作物の敷地が次に定める基準(用途の変更の場合にあっては、ロを除く。)に適合していること。
イ 排水路その他の排水施設が、次に掲げる事項を勘案して、敷地内の下水を有効に排出するとともに、その排出によって当該敷地及びその周辺の地域に出水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されていること。
(1) 当該地域における降水量
(2) 当該敷地の規模、形状及び地盤の性質
(3) 敷地の周辺の状況及び放流先の状況
(4) 当該建築物又は第一種特定工作物の用途
ロ 地盤の沈下、崖崩れ、出水その他による災害を防止するため、当該土地について、地盤の改良、擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられていること。
二 地区計画又は集落地区計画の区域(地区整備計画又は集落地区整備計画が定められている区域に限る。)内においては、当該許可の申請に係る建築物又は第一種特定工作物の用途が当該地区計画又は集落地区計画に定められた内容に適合していること。
三 当該許可の申請に係る建築物又は第一種特定工作物が次のいずれかに該当すること。
イ 法第34条第1号から第10号までに規定する建築物又は第一種特定工作物
ロ 法第34条第11号の条例で指定する土地の区域内において新築し、若しくは改築する建築物若しくは新設する第一種特定工作物で同号の条例で定める用途に該当しないもの又は当該区域内において用途を変更する建築物で変更後の用途が同号の条例で定める用途に該当しないもの
ハ 建築物又は第一種特定工作物の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設として、都道府県の条例で区域、目的又は用途を限り定められたもの。この場合において、当該条例で定める区域には、原則として、第8条第1項第2号ロからニまでに掲げる土地の区域を含まないものとする。
ニ 法第34条第13号に規定する者が同号に規定する土地において同号に規定する目的で建築し、又は建設する建築物又は第一種特定工作物(第30条に規定する期間内に建築し、又は建設するものに限る。)
ホ 当該建築物又は第一種特定工作物の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において建築し、又は建設することが困難又は著しく不適当と認められる建築物又は第一種特定工作物で、都道府県知事があらかじめ開発審査会の議を経たもの
2 第26条(排水施設)、第28条(地盤の改良、擁壁の設置等)及び第29条(道路、公園、配水施設に関する技術的細目)の規定は、前項第1号に規定する基準の適用について準用する。

5.建築許可の国等の特例(法第43条第3項)
 法第43条第3項は、国及び県等が行う建築行為についての手続きについて規定している。本条に基づく協議が成立することをもって、建築許可があったものとみなす。
法第43条(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)

3 国又は都道府県等が行う第1項本文の建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設(同項各号に掲げるものを除く。)については、当該国の機関又は都道府県等と都道府県知事との協議が成立することをもって、同項の許可があったものとみなす。